福島・浜通りの人口は戻ったか — 2025年国勢調査と震災前の比較
最終更新:2026-10-08 / 出典:総務省「令和7年国勢調査」・社人研「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」
東日本大震災と原子力災害から14年半後の2025年国勢調査で、福島県浜通りなどの13市町村の人口は合計419,550人でした。震災前の2010年に対して78.0%の水準です。 避難指示の解除が進んだ町では2020年から人口が増えていますが、震災前との比較では、回復の度合いに大きな差があります。
13市町村の国勢調査人口(2010〜2025年)
震災前の2010年に対する2025年の水準が低い順に並べています。0人とあるのは、調査時点で全域に避難指示が出ていた年です。
| 市町村 | 2010年 | 2015年 | 2020年 | 2025年 | 2020→2025年 | 2010年比 | 65歳以上(2025年) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 双葉町 | 6,932 | 0 | 0 | 211 | — | 3.0% | 26.0% |
| 浪江町 | 20,905 | 0 | 1,923 | 2,574 | +33.9% | 12.3% | 37.8% |
| 大熊町 | 11,515 | 0 | 847 | 1,533 | +81.0% | 13.3% | 14.2% |
| 富岡町 | 16,001 | 0 | 2,128 | 2,894 | +36.0% | 18.1% | 26.2% |
| 飯舘村 | 6,209 | 41 | 1,318 | 1,353 | +2.7% | 21.8% | 61.4% |
| 葛尾村 | 1,531 | 18 | 420 | 418 | -0.5% | 27.3% | 49.0% |
| 楢葉町 | 7,700 | 975 | 3,710 | 4,536 | +22.3% | 58.9% | 35.5% |
| 川内村 | 2,820 | 2,021 | 2,044 | 1,702 | -16.7% | 60.4% | 54.1% |
| 南相馬市 | 70,878 | 57,797 | 59,005 | 54,066 | -8.4% | 76.3% | 39.0% |
| 相馬市 | 37,817 | 38,556 | 34,865 | 31,841 | -8.7% | 84.2% | 34.4% |
| 広野町 | 5,418 | 4,319 | 5,412 | 4,777 | -11.7% | 88.2% | 35.8% |
| いわき市 | 342,249 | 350,237 | 332,931 | 306,165 | -8.0% | 89.5% | 33.9% |
| 新地町 | 8,224 | 8,218 | 7,905 | 7,480 | -5.4% | 91.0% | 36.1% |
| 合計 | 538,199 | 462,182 | 452,508 | 419,550 | -7.3% | 78.0% | — |
「2010年比」は、2025年の人口が2010年の何%にあたるかを示します。対象は、社人研が市町村別の将来推計を公表していない福島県の市町村です。
増加率と回復の水準は別のもの
2020年から2025年の増加率だけを見ると、大熊町の+81.0%をはじめ、全国の市区町村の中でも 際立って高い数字が並びます。これは、避難指示の解除によって住めるようになった地域に人が戻り、あるいは新たに移り住んだためで、 出発点の人口が小さいほど率は大きくなります。
同じ町を震災前と比べると、見え方は変わります。2025年の人口が2010年の半分に届かない市町村は6あります。 増加率の高さは、回復が終わったことを意味しません。
年齢構成にも違いがあります。65歳以上の割合は市町村によって幅があり、帰還した住民の年齢層や、 復興関連の仕事で移り住んだ人の多さによって変わります。表の右端の列で確認できます。
この数字を読むうえでの注意
国勢調査の人口は、調査時点でその市町村に実際に住んでいる人の数です。避難先で暮らしながら住民票を元の町に置いている人は含まれません。 町が公表している住民登録上の人口とは、大きく異なる場合があります。
また、2025年の人口には、震災前からの住民だけでなく、復興事業や新しい産業のために移り住んだ人も含まれます。 「戻った人の数」そのものではありません。
これらの市町村については、社人研が市町村別の将来推計を公表していないため、2030年以降の見通しは掲載していません。
よくある質問
Q. 福島県浜通りの町村の人口は、震災前の水準に戻りましたか?
A. 市町村によって大きく異なります。対象13市町村の合計は2025年国勢調査で419,550人で、震災前の2010年(538,199人)の78.0%です。2010年の半分に満たない市町村は6あり、最も低いのは双葉町の3.0%(211人)です。
Q. 2020年から2025年にかけて人口が増えた町はどこですか?
A. 6市町村で増加しました。増加率が最も大きいのは大熊町の+81.0%(847人→1,533人)です。双葉町は2020年の調査時点では全域で避難が続いており人口0人でしたが、2025年には211人が住んでいます。
Q. 国勢調査の人口と、町が発表している人口が違うのはなぜですか?
A. 国勢調査は、調査時点で実際にその町に住んでいる人を数えます。避難先に住みながら元の町に住民票を置いている人は、国勢調査では避難先の人口に含まれます。そのため、住民登録に基づく人口より国勢調査の人口が大幅に少なくなる町があります。
Q. これらの市町村の将来推計人口はありますか?
A. 社人研の「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」は、これら13市町村について市町村別の推計値を公表していません。そのため本サイトでも、各市町村ページには国勢調査の実績のみを掲載しています。
関連ページ
- 福島県の市区町村 人口一覧
- 福島県の人口増加率ランキング(2020→2025年)
- 将来推計は当たったか — 2025年国勢調査で全国の市区町村を答え合わせ
- 都心回帰の5年間 — 2025年国勢調査で人口が増えた区
- 郊外で増え続ける市 — 2025年国勢調査で人口が増えた市ランキング
- 10万人都市の急減 — 2025年国勢調査で人口減少率が大きかった市
- 能登半島地震後の人口 — 2025年国勢調査でみる奥能登と中能登
出典:総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計」「国勢調査」(e-Stat)、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」。 2020年以前の人口は現在の市区町村の範囲に組み替えた値です。年齢構成は年齢不詳を除いて算出しています。 本記事は人口と年齢構成の統計から作成しており、転入・転出や出生・死亡の内訳に基づく分析ではありません。 このサービスは、政府統計の総合窓口(e-Stat)のAPI機能を使用していますが、サービスの内容は国によって保証されたものではありません。